日本植物病理学会報
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オオムギうどんこ病菌に対するメチオニンの抑制作用について
第I報 各発育段階におけるオオムギうどんこ病菌の光顕観察
阿久津 克己小笠原 長宏
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1977 年 43 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

オオムギうどんこ病菌(E. graminis f. sp. hordei)に対するメチオニンを含む7種のアミノ酸の作用を調べ,各処理葉上における本菌の形態変化を光顕観察した。
1. メチオニン以外の4種のアミノ酸処理葉で,本菌に対する抑制効果は認められなかった。
2. メチオニンは本菌の胞子発芽ならびに付着器形成に対し,in vivo, in vitroともに阻害効果を示さなかった。
3. メチオニン処理葉で,第1吸器の形成阻止は認められないが,その後の吸器の形態分化に異常が起り,その指状突起が減少する一方異常に伸長し,その養分吸収力も著しく低下した。吸器の奇形および作用低下はL-体で最も著しかった。
4. メチオニン処理葉上で,菌糸の伸長は著しく悪く,その抑制程度はL-体,DL-体,D-体の順であった。
5. メチオニン処理葉で,第2以降の吸器の形成は著しく少ないが,菌糸細胞数あたりの形成率は標準区より高く,その形成数の低下は形成阻害によるのではなく,菌糸伸長の低下によると思われる。また,吸器の形成位置に規則性が無くなった。
6. L-, DL-メチオニンを接種前に処理した場合,接種5日すぎても分生子柄,分生胞子の形成は認められなかった。しかしD-メチオニン処理葉上の菌叢ではただ1個の分生子柄を形成し,その上に分生胞子を形成した場合が多く観察された。接種後72, 96時間に処理した場合,分生子柄,分生胞子の形成が起ったが,その数は少なかった。
7. 接種5日後にL-, DL-メチオニン処理した場合,分生子柄上に20個以上の分生胞子を鎖生した菌叢が多く観察され,胞子の飛散性の低下が認められた。また,このような分生胞子を接種試験した結果,発芽率が低く,その後の菌叢形成率も悪かった。

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