1977 年 43 巻 5 号 p. 569-574
徳島県下でハウス栽培のナスに褐色の斑点を生ずる一種の細菌病が発生した。本病は冬期に発生し,主に葉,花蕾,花柄を侵し,落葉,花蕾の落下,生育抑制などをひき起した。罹病植物から細菌を分離し,病原性,細菌学的性質および血清学的性質を検討したところ,病原細菌はPseudomonas cichorii (Swingle) Stapp 1928であることが明らかになった。同菌によるナスの病気は報告がないので,褐斑細菌病(necrotic leaf spot)と呼ぶことにしたい。
ナスの斑点細菌病は病徴と発生生態がよく類似しているが,病原細菌の細菌学的性質が若干異っており褐斑細菌病と異なるものと思われる。
P. calendulae (Takimoto) Dowson 1943はP. cichoriiの異名と考えられる。