1978 年 44 巻 2 号 p. 120-126
タバコ・モザイク・ウイルスに感染したグルチノーザを高温に置いた後常温に移して温度処理し,局部病斑形成過程の第二相にあたる状態の葉組織を用いてその蛋白質と核酸代謝について検討した。
105,000×gの上澄部および10,000×g沈澱のSDSによる可溶化部分の電気泳動の結果から,この分画では局部病斑形成期である第二相で大きな代謝変動はないものと考えられた。10,000×g上澄部の105,000×g沈澱部(ウイルス分画)は局部病斑形成期に14CO2からの14Cの取り込みが2割程低下し,ウイルス合成に影響が出ていることが示された。
フェノールーSDS法で抽出した核酸分画をメチル化アルブミン珪藻土カラムクロマトグラフィーで検討した結果,対照区と局部病斑誘導区の間にほとんど差がなかった。蛋白質分画および核酸分画についてみると,ウイルスの合成を除いては,この時期に余り大きな代謝変化はないものと考えられた。