日本植物病理学会報
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タバコモザイクウイルスを除去したタバコカルスの分化能
大村 敏博脇本 哲
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1978 年 44 巻 3 号 p. 247-254

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抄録

30日ごとに70代継代したタバコカルスの内,緑色で密な組織からなり,タバコモザイクウイルス(TMV)を高濃度に含むカルスを分化培地に移すと多数の芽が分化したが,TMVを含む緑色のカルスからなるべく透明な部分を継代することによって得た無ウイルスの透明なカルスでは分化が認められなかった。TMVを除去したカルスから芽を分化させる条件を検討した結果,長期(50日)の継続代期間,高濃度(2mg/l)のカイネチンを含む培地の使用,あるいは強い光条件下(3,000-12,000lux)での培養が好適であることが明らかになった。これらの条件下で生じたウイルス除去カルスの緑色がかった固い部分を毎回継代することによって得た緑色で密な組織は分化能を再び獲得した。
6年間継代培養したカルスから得た小植物はすべて異数体であったが,TMVに罹病した茎から新たに起こし,ウイルスを除去したカルスから得た無ウイルスの植物は元の植物の染色体数(2n=48)を有していた。

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