1978 年 44 巻 4 号 p. 413-419
野外で採集したキュウリ斑点細菌病罹病葉から,dihydrostreptomycin (DHSM)耐性のPseudomonas lachrymansが数多く分離された。これら耐性菌の中,N-7641株を含む若干の菌株のcell-free systemはdisodium adenosine triphosphate (ATP)の存在下でDHSMを不活化することを認めた。これら酵素的に不活化されたDHSMはphosphodiesteraseにより再活性化されず,alkaline phosphataseにより再活性化されることから,この不活化機構はリン酸反応によるものであると考えられた。この不活化されたDHSMを単離し,プロトン核磁気共鳴(PMR)などによりその化学構造を検討したところ,DHSMのN-methyl-L-glucosamineのC-3 positionがリン酸化されていることが確認された。すなわち,本菌の示すDHSM耐性は本菌のもつ3"-リン酸転移酵素(ATP: aminoglycoside 3"-phosphotransferase)が関与しているものであることが明らかになった。