日本植物病理学会報
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カブおよびハクサイ病根細胞における根こぶ病菌の走査電顕像
アブラナ科植物の根こぶ病に関する研究 III
池上 八郎向畠 博行内記 隆
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1978 年 44 巻 4 号 p. 456-464

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抄録

カブとハクサイの根こぶ病に罹病した根部の切断面を走査型電子顕微鏡によって,変形体の形成初期から休眠胞子の成熟までの経過を観察した。初期の変形体は直径がおよそ4μmの表面が平滑ないくつかの球状体を呈する。この球状体はそれぞれ糸状物で連結されたものも認められた。また小さな桑果状塊のものもあった。変形体は更に発育すると,これが感染細胞に充満するようになる。この断面はいくつかの小球状体からなるもの,またこれらのみられないものがあり,一般に断面は海綿状構造を示した。つぎに根こぶの組織断面において,しばしば異なった発育段階を示す菌体が同時に観察された。すなわち若令変形体のある細胞とこれに隣り合わせて,かなり発育した変形体の存在する細胞,また休眠胞子集団のみられる細胞とそれに接して若令変形体のある細胞,あるいは1つの感染細胞に若令あるいは発育の進んだ変形体と休眠胞子集団の共存している像もみられた。成熟前の休眠胞子は細い糸状物で連結されており,成熟するとその表面に突起を生じた。多核変形体を包む膜はそれが休眠胞子へと成熟するある時期に消失し,おびただしい数の胞子が細胞内に塊として充満していた。パラフィン切片では,感染細胞内の休眠胞子の細胞壁が明瞭に観察された。

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