日本植物病理学会報
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エンバク葉の切断傷害による抗菌性ステロイドの酵素的活性化
門田 源一鍋田 憲助森岡 克己谷 利一
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1978 年 44 巻 4 号 p. 478-484

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抄録

非抗菌性ステロイドのアベナコシド(Avd) AおよびBならびに同物質を抗菌性の26-デスグルコアベナコシド(26-DGA) AおよびBにそれぞれ転換する酵素の存在がエンバク品種勝冠1号の初生葉で確認された。同酵素はAvd A, BのC-26にβ-結合したグルコースを加水分解するが,Avd A, Bおよび26-DGA A, BのC-3のβ-グルコシド結合には作用しない。また,エンバク葉に存在するフラボノイド配糖体および合成基質のp-ニトロフェニール-β-D-グルコシドにも作用しない。本酵素の活性はpH 6.0に最適があり,熱不安定で,p-クロルマーキュロ安息香酸で阻害されるが,グルコノラクトンでは阻害されない。切断傷害をうけたエンバク葉では,Avd A, Bは5分間以内に26-DGA A, Bにそれぞれ転換がはじまる。転換の程度とPuccinia coronata avenae夏胞子の発芽管伸長阻害力とは正比例す。以上の結果から,傷害をうけたエンバク葉においては,特異的なβ-グルコシダーゼの活性化と,それによるAvdの26-DGAへの転換が起こり,抗菌力が増加すると考える。

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