日本植物病理学会報
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モロコシ類の豹紋病菌(Gloeocercospora sorghi)の種子および土壤からの検出とその伝播上の重要性
渡辺 恒雄橋本 光司
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1978 年 44 巻 5 号 p. 633-640

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抄録

海老名市(神奈川県)の畑から収穫したモロコシの種子は,70%が変色し,約68%が豹紋病菌(Gloeocercospora sorghi)に感染していた。これらの種子を殺菌土壌に播くと,わずか20%が萌芽し,萌芽した子苗の約80%が発病した。また健全な種子を,畑から持ち帰った病土に播いたところ発病はしなかったが,供試した39個体のうち2個体の茎(地際部)から本菌を検出できたが,殺菌土からは検出できなかった。この菌の分生胞子は,培地の影響で大きさや隔膜数が変わった。また20∼30Cの温度で,胞子の発芽を素寒天培地上(WA)で試験したところ処理後4時間で100%発芽した。培養菌核は,処理後2∼4日めでWA上では,96%が発芽し,22%の菌核上には,直接スポロドキアの形成が見られた。本菌は,接種後2時間以内で寄主体への侵入が可能の様で,24時間後には早くも病徴が現われた。以上の実験結果から,本菌は,種子伝染し,土壌中で存在しており,植物へ感染能力を有することが明らかである。

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