1979 年 45 巻 4 号 p. 463-467
チモシー斑点病菌Cladosporium phleiの菌体から単離したフレイクロームの物理化学的および生理学的性質を調べた。自然光下に変化させたフレイクロームと病斑から抽出した色素との類似性から,病斑に存在する色素は,フレイクロームの光変化物質であると推定した。フレイクロームはチモシー葉から得たSH基を反応に必要とするインベルターゼを阻害したが,SH基を必要としないインベルターゼは阻害しなかった。フレイクロームによるインベルターゼの阻害作用はジチオスレイトールまたはシステインにより部分的に無効化された。光照射(474nm)されたフレイクロームのSHインベルターゼに対する阻害作用は低下した。フレイクロームの毒的作用と病徴発現機構との関連を論じた。