日本植物病理学会報
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ピーマンうどんこ病に関する研究
(1)ピーマン葉上における分生胞子の発芽,菌糸伸長ならびに侵入
本間 保男有本 裕高橋 広治石川 武丕松田 泉見里 朝正
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1980 年 46 巻 2 号 p. 140-149

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抄録

ピーマンの裏面葉上におけるLeveillula taurica (Lév.) Arn.の分生胞子の発芽,菌糸の伸長および侵入について光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡下で観察した。
L. tauricaの分生胞子の発芽は接種後2~3時間で70%に達した。各分生胞子の発芽管は1本であり,発芽は後端からの場合が多くつぎに先端からで,中央部からの場合もまれにあった。接種後3時間で発芽管の先端には付着器を形成しはじめた。付着器は2種類のものが観察された。すなわち,発芽直後に形成されるこぶし状のものと菌糸がかなり伸長した後に形成される橋脚状のものとが見られた。後者は2分岐性を有し, 3回の分岐を経て橋脚状を呈した。これらの付着器は,いずれの場合も吸器を形成することなく,単に発芽管あるいは菌糸を葉面に固定する役割を演じているようである。菌糸は,はじめ曲りくねって伸長し,直接気孔から内部へ侵入する例も見られたが,多くの場合は分岐して,侵入した。最初の侵入が終った後もさらに伸長しながら分岐し(分岐の角度は,ほぼ直角),分岐した菌糸の先端が気孔から侵入する場合もあった。菌糸は,その後も直線的に伸び,接種後6日では約2,700μmに達するものがあった。本菌の場合,多くの糸状菌で見られるように,親胞子がつねにコロニーの中心になる現象は見られなかった。

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