1980 年 46 巻 4 号 p. 471-479
イチゴ畑に埋めこんだ病原菌非汚染土と無殺菌の畑土入りのポットにイチゴのランナーを根づかせ,自然条件下での生育を移植後132~137日後に比較したところ,前者のほうが後者よりも良好な生育を示した。根部の糸状菌相を調べたところ,前者からは28属の糸状菌(未同定菌は除く)が検出され,PenicilliumとTrichoderma属菌の分離頻度が高かったが,後者からは30属が検出され, RhizoctoniaとFusarium属菌が,高頻度で分離された。病原菌非汚染土でのイチゴの生育の良さは,根部の糸状菌相の差異とも関係があり,土壌伝染病原菌などによる根部の被害がPenicillium属菌などによる拮抗作用の結果軽減されたためではないかと推測される。