日本植物病理学会報
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Verticillium sphaerosporumの新変種による線虫内部寄生性と土壌病原菌に対する拮抗作用
渡辺 恒雄
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1980 年 46 巻 5 号 p. 598-606

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抄録

土壌病原菌分離のため素寒天培地上にイチゴの根の組織片をプレートしたところ,古くなった培養基中の線虫体上に胞子を形成していた一種のVerticillium属菌が見出された。本菌は線虫に内部寄生性を有し,しかも球形(平均3×2.5μm)の胞子を形成する点でV. sphaerosporum Goodeyと類似していたが,さらに円筒形(平均9.3×2.3μm)の胞子を形成する点から同種の新変種と考えV. sphaerosporum Goodey var. bispora T. Watanabe nov. var.と命名した。このVerticilliumAphelenchoides sp., Cephalobus sp,やPanagrolaimus sp. などの線虫に内部寄生性を有し,しかも土壌病原菌を含む91菌株の供試菌に対しPDA培地上で拮抗作用を示した。とくに菌糸生育が50%以上も抑制されたのはAlternaria sp., Phoma sp., Pithomyces sp., Pythium spleendens, P. sylvaticum, Rhizoctonia solaniTrichocladium sp.などである。

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