日本植物病理学会報
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酵素結合抗体法(ELISA)によるカボチャモザイクウイルスとキュウリモザイクウイルスの検出に用いる静置条件
佐古 宣道松尾 和敏野中 福次
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1982 年 48 巻 2 号 p. 192-198

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抄録

ELISAの二重抗体法により,カボチャモザイクウイルス(WMV)とキュウリモザイクウイルス(CMV)を検出する場合のプレートの静置条件について検討した。プレートに抗血清を吸着させる段階では,6C, 27C, 37Cの温度間にWMVの場合,ELISA吸収値に明確な差は得られなかった。プレートに抗原試料を注入する段階では,27Cに2時間,ついで6Cに移して14時間それぞれ静置した場合が,WMV, CMVの両ウイルスとも吸収値は最高であった。プレートに酵素結合抗体を添加した後の静置条件については,27Cの温度下にWMVでは3時間ないし4時間の静置時間で,CMVでは1時間から4時間までのいずれの静置時間でも,37Cより吸収値は高かった。6Cではいずれの静置時間でも,27Cあるいは37C下での吸収値より低かった。現在まで一般にELISAで用いられてきた温度条件の37Cより,本試験では27Cの方が粗汁液や純化標品中の両ウイルス抗原の検出には,良好な吸収値が得られたことから,本法のプレート静置温度としては27Cを用いるよう提唱する。

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