日本植物病理学会報
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螢光抗体法による植物ウイルスの増殖・分布の研究 II
キュウリモザイクウイルスの接種葉における増殖・分布
細川 大二郎森 寛一
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1982 年 48 巻 4 号 p. 444-451

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抄録

キュウリモザイクウイルスとタバコの組合わせで,接種葉におけるウイルスの増殖・分布を螢光抗体法を用いて検討した。
ウイルスを接種した面の表皮を剥離し,剥離面の細胞壁を細胞壁分解酵素(ペクチナーゼおよびセルラーゼ)で部分的に分解したのち,螢光抗体で染色すると,表皮細胞内のウイルス抗原を検出することができた。
表皮には25Cにおいて接種9∼10時間後に特異螢光が観察され,この特異螢光陽性部にその輝度の強さから第1次感染細胞と推定される細胞を認めた。第1次感染細胞はまれに気孔孔辺細胞の副細胞のこともあったが,ほとんどが普通の表皮細胞であった。ウイルスは第1次感染細胞から時間の経過とともに周囲の表皮細胞へほぼ同心円状に拡がった。この場合のウイルスの移行速度は20Cで8.4μm/時間,25Cで20.3μm/時間,30Cで26.3μm/時間であった。ウイルスに感染した細胞では,ウイルス抗原が最初に核小体と思われる部位に認められるが,のち細胞質に現われ全体的に分布し,その量が増加した。細胞質にウイルス抗原が現われ,その量が増加し始めた時期になると,この細胞に隣接した細胞の核小体と思われる部位にもウイルス抗原が認められるようになった。その後,この細胞でも前記の経過でウイルスが増殖し,この過程がくりかえされてウイルスが細胞から細胞へ移行し,増殖した。感染の進んだ細胞ではウイルス抗原が核,核小体と思われる部位,細胞質内に観察されたが,プラスチド内には認められなかった。感染細胞では核小体と思われる部位が2, 3個に増加している場合が多く,ウイルス感染の影響が推察された。
葉肉組織では,ウイルス抗原が最初ウイルスの侵入部位から葉の水平方向および垂直方向に同時に細胞から細胞へと拡がり,裏面表皮に達したのちは,葉の水平方向の細胞間に主として拡がるようであった。

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