日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
イネ紋枯病の病斑進展のモデル曲線
羽柴 輝良小池 賢治湯野 一郎山田 昌雄
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 48 巻 4 号 p. 499-505

詳細
抄録

品種越路早生を供試し,異なる温・湿度条件下におけるイネ紋枯病の菌糸および病斑の上位進展,出穂後の日数の経過と本病に対する感受性の変化を検討し,1日ごとの病斑進展のモデル曲線を作製した。1日当りの病斑の進展は湿度100%で気温が20Cでは0.48cm, 23Cでは1.13cm, 25Cで1.35cm, 28Cで1.58cmであった。この値を用いて日平均気温から算出した病斑のモデル曲線を作った。一方,異なる湿度条件下におけるイネ体上での病斑進展の割合は温度25Cで湿度100%に対してそれぞれ,湿度98%で0.99, 95%で0.96, 90%で0.87, 86%で0.38であった。この値を用いて,日平均気温から算出した病斑のモデル曲線に対して湿度による補正を行った。また,病斑進展が最適である温度28C,湿度100%条件下におけるイネ体の感受性の変化と病斑進展との関係から,出穂2日後の1日当りの病斑の進展は1.12cm, 5日後は1.32cm, 10日後は1.71cm, 15日後は1.59cmであった。上記の値を最適病斑進展度とし,気温と湿度から作製した病斑進展のモデル曲線にあてはめ,モデル値が最適病斑進展度を越える場合には,最適病斑進展度を上限値として補正し,3つの要因を組合せた病斑進展のモデル曲線を得た。本モデル曲線は実際に出穂後圃場における病斑の進展の調査結果(1977∼1981年度)とほぼ一致した。このことから,上記3つの要因を組合せた病斑進展のモデル曲線を用いることによってより精度の高い本病の発生予測が可能と思われる。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top