日本植物病理学会報
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親和性および不親和性イネ・いもち病菌組合せにおける葉身での初期感染過程の比較
古賀 博則小林 尚志
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1982 年 48 巻 4 号 p. 506-513

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抄録

1. いもち病菌接種イネを全葉透明化染色法により固定,染色を行い,親和性組合せ(レース037とコシヒカリ)と不親和性組合せ(レース037とフクニシキ)間での初期感染過程を光顕によって比較観察した。
2. 不親和性組合せの葉身における抵抗性発現は,侵入時と侵入菌糸の伸展時の2段階に存在することが認められた。
3. 侵入段階での表皮細胞の反応には,無反応の場合と細胞内容物の顆粒化を伴う場合が観察された。前者は親和性および不親和性組合せのいずれにおいてもほぼ同率で出現することから,特異的抵抗性との関連性は少ないと考えられた。これに対して後者は不親和性組合せにおいて親和性組合せよりも,その出現率が著しく高く,両組合せ間に侵入率の差異が見出される時期と細胞内容物の顆粒化の出現時期とが一致することから,特異的抵抗性発現と密接な関係にあることが示唆された。
4. 侵入菌糸の伸展阻害の場合においても,細胞内容物の顆粒化が密接にかかわっていることが示唆された。
5. 表皮細胞が濃く褐変した感染部位は,不親和性組合せで観察された各感染部位のうち2∼3%にすぎず,むしろ親和性組合せにおいて高率で観察されることから,宿主細胞の濃い褐変化が特異的抵抗性の主要な発現とは考え難かった。

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