日本植物病理学会報
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台木用トマトKNVFおよびKVF接ぎ木によるトマト萎ちょう病(レースJ3)の防除
国安 克人山川 邦夫
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1983 年 49 巻 5 号 p. 581-586

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抄録

レースJ3によるトマト萎ちょう病とトマト褐色根腐病は,その外部病徴および発病環境が類似している。トマト褐色根腐病等複合抵抗性を有するトマト台木用品種KNVFおよびKVF,の両病害に対する抵抗性の差によって識別することができるか否かを検討する目的で本試験を実施した。罹病性対照品種Walter,福寿2号は両病原菌の単独および混合接種に対して顕著な根腐症状を呈したが,KNVFおよびKVFは両病害に対して同程度の高い抵抗性を示した。したがってこれら台木品種利用による両病害の識別は困難であった。福寿2号を穂木としたKNVF接ぎ木トマトおよび自根福寿2号をトマト萎ちょう病菌レースJ3接種土壌に定植した場合,自根福寿2号の根部は顕著に腐敗し,茎葉部萎ちょう株率も高率であったが,KNVF接ぎ木苗では茎葉部萎ちょう株は全く認められず,根部褐変程度も軽微であった。この結果からトマト萎ちょう病(レースJ3)の防除にトマト褐色根腐病と同様にこれら台木用品種を用いた接ぎ木栽培が有効であることが判明した。

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