日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
イタリアンライグラス(Lolium multiflorum)の斑紋萎縮病から分離された新ウイルス,ライグラスモットルウイルス
鳥山 重光御子柴 義郎土居 養二
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 49 巻 5 号 p. 610-618

詳細
抄録

イタリアンライグラスで,やや萎縮し,葉に黄色の条斑紋を示す斑紋萎縮病から分離されたウイルスは,汁液接種でイタリアンライグラス,コムギ,オオムギ,エンバク,ライムギ,アワに高率で感染し,オーチャードグラス,ペレニアルライグラス,チューイングフェスクにも低率であるが感染した。オオムギ,オーチャードグラス,アワなどではえ死症状を伴うことが多い。本ウイルスの野外での発生については十分調査していないが,本病発生草地では,イタリアンライグラスにかなりの発生がみられ,またオーチャードグラスでも発生が認められた。ウイルス粒子は直径約28nmの球形で,分子量約1.5×106の一本鎖RNAを含み,蛋白の分子量は26,000dで,他に微量の17,500dと16,500dの蛋白が認められた。核酸含量は粒子重の約23%,CsCl中の浮遊密度は1.366g/ml,粒子の沈降定数は108Sであった。本ウイルス抗血清はコックスフットモットルウイルス(CfMV)およびphleum mottle virus (PMV)と弱い反応を示したが,本ウイルスとの沈降帯とは血清学的に明らかに異なる。またイネ科草類を宿主とし,類似の粒子性状をもつcocksfoot mild mosaic virus, cynosurus mottle virus, CfMV, PMVの抗血清は本ウイルスと全く反応しなかった。本ウイルスは新ウイルスと考えられたので,ライグラスモットルウイルス(英名:ryegrass mottle virus)と命名した。外被蛋白の分子量,Setaria属植物に対する寄生性や粒子の物理的性状から,CfMVグループよりはPMVグループ(Hull, 1977)に属すると思われる。クリプトグラムは,R/1:1.5/23:S/S:S/*と表わされる。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top