日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
黄化萎縮病罹病イネから分離された2種類の小球形ウイルス様粒子
本蔵 良三白子 幸男江原 淑夫山中 達
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 49 巻 5 号 p. 653-658

詳細
抄録

宮城県内各地で採集した黄化萎縮病罹病イネより,形態的に異なる2種類の小球形ウイルス様粒子(A型およびB型VLPと仮称)が分離された。A型VLPはリンタングステン酸(PTA)染色で径30nm,酢酸ウラン(UA)染色で径32nmで,表面に高さ4nmの突起が認められた。B型VLPはPTA染色で径32nm, UA染色で径35nmで,表面は平滑であった。A型およびB型VLPの純化標品は,260nmで最大値,244nmで最小値を持つ,核蛋白性粒子特有の紫外部吸収スペクトルを示した。A260/A280比は,A型VLPで1.44, B型VLPで1.60であった。A型およびB型VLP間に血清学的類縁関係は認められなかった。宮城県内の採集地46か所中,11か所の試料からA型およびB型VLPが,9か所からA型VLPのみが,21か所からB型VLPのみが検出され,5か所からは両VLPとも検出されなかった。発病田近辺の2か所から採集した健全イネからは,両VLPとも検出されなかった。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top