日本植物病理学会報
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イネ紋枯病菌のイネ葉鞘への感染に及ぼすバリダマイシンAの効果
遠藤 敏夫松浦 一穂若江 治
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1983 年 49 巻 5 号 p. 689-697

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抄録

イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani)のイネ葉鞘侵入前に菌糸をバリダマイシンA (VM-A)で処理した場合,接種後どのような変化が生ずるかを解剖学的に観察した。R. solani菌叢を,VM-A 0.63, 1.25および2.5ppm溶液に浸漬した後に風乾し,イネに接種すると,菌叢に接した葉鞘の褐変や小型の楕円形斑点の形成が認められた。これらの部分を観察したところ,葉鞘組織内に菌糸は認められなかった。これに対し,無処理の病斑においては葉鞘組織内部の空腔に菌糸が充満し,柔組織も顕著に崩壊していた。また,R. solaniを接種後8時間目に,VM-A 10ppm液を葉鞘に散布すると,接種4日後に葉鞘の褐変や小型の楕円形斑点が発生したが,葉鞘組織内への菌糸の侵入は阻止されていた。葉鞘上に菌糸は認められるが,肉眼的に病斑は認められない接種後16時間目にVM-Aを散布すると,4日目に葉鞘組織内に菌糸の侵入が認められたが,無処理組織の病斑内の菌糸に比べると,その伸長は著しく抑制され,葉鞘組織の破壊もほとんど見られなかった。これらの結果より,VM-Aの優れたイネ紋枯病防除効果は菌糸侵入阻止作用と菌糸伸長抑制作用によって発揮されるものと考えられた。

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