1984 年 50 巻 2 号 p. 149-157
ヒメフタテンヨコバイが媒介するMLOの異同を明らかにする目的で実験を行い,以下の結果を得た。
1 ヒメフタテンヨコバイが媒介するMLOは,多くの共通した寄主植物を持つこと,同一種の検定植物上での病徴に差異がみられないことから,極めて近縁の病原MLOと推定された。
2 ヒメフタテンヨコバイによって自然発病株から健全ミツバへ病原MLOを伝搬させると,その伝搬率は病株の採集地に関係なく,吸汁させる病植物の種類で異なった。
3 12分離株は,寄主範囲を基準にすると3系統に類別された。系統Iではキク科,セリ科,ユリ科など6科11種の検定植物が発病した。系統IIおよびIIIは類似した寄主範囲を持ち,系統Iによって発病した植物のほかに,アブラナ科,ナス科,マメ科などの検定植物が発病したが,系統Iによって発病したゲンノショウコは発病しなかった。また,系統IIIによってトマトは発病したが,系統IIでは発病しなかった。