日本植物病理学会報
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テンサイ工場排出土壌から分離されたRhizoctonia solani AG 1の新しい培養型ICとその諸性質
百町 満朗角野 晶大
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1984 年 50 巻 4 号 p. 507-514

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抄録

1. テンサイ工場排出土壌の遊離土,フリューム土から苗立枯病菌であるRhizoctonia solaniが多数分離された。
2. 分離したR. solaniの大部分は菌糸融合によりAG 1に類別されたが,これらAG 1に属す大半の菌株は,我が国で従来知られていた1A, 1Bの菌叢とは明らかに異なり,1つの培養型を示した。
3. 本培養型の菌叢ははじめ無色で後に淡褐色となり,培地は淡褐色に着色した。菌核は表面が滑らかで類球形,暗褐色または黒褐色,大きさは0.2∼0.8mm,培地上に極めて多数形成された。これらの培養形態は米国のAG 1 type 3と同一であった。
4. AG 1内の同一培養型間の菌糸融合率は40∼60%と高いのに対し,異なる培養型間の融合率は30∼35%と低かった。
5. 本培養型の菌糸はPDA上15∼32Cで生育し,生育適温は30C,生育速度は34.7mm/24hrであった。
6. 本培養型の菌糸幅は6.69±1.92μmで1A, 1Bと大差なかった。
7. 本培養型は1A, 1B同様,各種作物の幼苗に対して強い病原性を示した。
8. 本培養型は,テンサイ工場排出土壌以外に北海道,栃木県,福岡県の一般畑からも分離されており,その分布はかなり広範囲なものと思われた。
9. 本培養型を,R. solani AG 1の新しい培養型1Cとすることを提案する。

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