日本植物病理学会報
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クワ輪斑病,とくに病原菌Gonatophragmium moriの生活史と分類
高橋 幸吉寺峰 孜
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1986 年 52 巻 3 号 p. 404-412

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抄録

1978年,高橋ら(1980)が高知県で発見し,現在四国・九州地方にまん延しつつあるクワ輪斑病菌Goruxtophragmium mori (Sawada) Deighton 1969の生活史を実験的ならびに自然条件下で明らかにした。本菌は夏~秋季の主に桑園周辺の調査で16科24属29種の草本および木本の落葉植物に寄生し,葉身に大きな輪帯状病斑を形成することを確かめた。このうち,カラヤマグワを除くほかの宿主は本菌の新しい宿主植物である。人工培地で形成させたクワおよびノブドウ分離菌株の分生子接種では,供試植物のクワ科4属10種,ブドウ科2属2種4品種,ジンチョウゲ科1属1種のすべてが感染した。本菌の宿主植物とその病徴,病原性,分生子世代および子のう世代の形態等分類学上の特徴から, Gonatophragmium moriの完全世代はAcrospermum viticola Ikata 1931であると結論した。

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