1986 年 52 巻 3 号 p. 460-465
エンバク冠さび菌の不親和性レース226および親和性レース203を接種したエンバク初生葉(品種勝冠1号)においては,抵抗性では接種8および35時間後にエチレン生成の極大を示し,罹病性では接種8時間後にのみ極大を示した。各種薬剤処理および重複接種によって抵抗反応を阻害してエチレン生成と抵抗反応との関連性を調べたところ,両者間に相関性が認められない場合があった。また,外生エチレンおよびその前駆物質ACCの処理によっても感染型は転換しなかった。以上の結果より,本病におけるエチレン生成の増高は菌体発育に影響を与える現象とは考え難い。むしろ,感染にともなう生化学的病徴として理解すべきであろう。