1988 年 54 巻 2 号 p. 217-219
血清学的手法を用いてRTYVの検出を試みた。赤血球凝集反応法およびラテックス凝集反応法の場合,ウイルスは罹病イネからはそれぞれ反応抑制や非特異反応のために検出できなかったが,保毒クロスジツマグロヨコバイからは虫体内のウイルス濃度が高い場合にのみ検出できた。ELISA法では罹病イネ葉の25,600倍希釈まで,保毒虫からは4,260倍希釈まで検出できた。簡易ELISA法は,短時間の処理でELISA法と同等の感度を示した。伝搬試験の結果と比較したところ,本ウイルスを伝搬した虫は必ず簡易ELISA法で検出され,さらに伝搬試験では検出できなかった保毒虫からもウィルス検出が可能であった。簡易ELISA法は,短時間内に多数の保毒虫検定を終了することができるのでRTYVの疫学的調査に有効な手法であると考えられる。