日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
オオムギ子葉鞘細胞における誘導受容性および拒絶性IV Erysiphe graminis付着器第一突起侵入失敗と第二突起からの侵入成否
久能 均小村 朋三山岡 直人小林 一成
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 54 巻 5 号 p. 577-583

詳細
抄録

Erysiphe graminisの付着器は第一突起からの侵入に失敗すると,第二突起を生じて再び侵入を試みる。第一突起からの侵入に失敗すると,侵入をうけた子葉鞘細胞の拒絶性が急速に高まる。高揚したこの細胞拒絶性と第二突起からの侵入成否について検討した。第二突起の侵入は,通常第一突起の侵入開始8~9時間後におこる。第一突起と第二突起が同一子葉鞘細胞に侵入を試みた場合には,第二突起の侵入成功率(吸器形成率)は約9%であり,第一突起の侵入失敗の影響を受けていた。第一突起が侵入を失敗した細胞の隣の細胞に第二突起が侵入を試みた場合には,両突起の侵入時間差9時間を境にして第二突起の侵入成功率に有意差が現われた。すなわち,第一突起が侵入してから9時間以内に第二突起が侵入を試みた場合には,第二突起の侵入成功率は29.5%であったが, 9~9.75時間では10%, 10時間以上では0%となった。この結果から,第一突起の侵入失敗によって高められた細胞の拒絶性は,約9時間後に隣接細胞に移行すると推定された。この仮説は第一突起からの侵入が失敗した細胞に隣接する細胞に別の胞子の付着器を移植し,その侵入行動を観察することによって裏づけられた。以上の結果は,第一突起が侵入に失敗した細胞の隣の細胞に第二突起が侵入を試みることによって,第一突起によって高められた細胞拒絶性が結果的に回避されていることを示している。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top