日本植物病理学会報
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Pseudomonas plantariiのイネもみへの侵入
畔上 耕児田部井 英夫福田 徳治
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1988 年 54 巻 5 号 p. 633-636

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抄録

Pseudomonas plantarii菌液を開花中のイネもみに噴霧接種し, 15日後にもみを収穫して連続切片を作成し,本菌の存在部位を顕微鏡観察した。本菌は,おもに維管束に近い部分の内外頴下表皮直下の柔組織細胞間隙中に観察された。とくに,頴の鈎合部付近の外頴下表皮直下に多かった。また,鈎合部の空間および玄米上にも見られた。維管束に近い部分の下表皮には多数の気孔が存在しているが,しばしばこの気孔およびその直下にのみ本菌が存在していた。上表皮の気孔とその直下に発達している柔組織の細胞間隙中にも観察された。しかし,表皮下繊維組織中には観察されなかった。本菌は,下表皮および上表皮の気孔から頴内の柔組織中に侵入して増殖し,これが苗立枯れの主たる感染源になるものと考えられる。

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