1989 年 55 巻 1 号 p. 67-68
マイクロインジェクション法を用い,オオムギうどんこ病菌の付着器および吸器に外来物質の導入を試みた。寒天ブロック上に置いたオオムギ子葉鞘裏面表皮にうどんこ病菌分生胞子を接種し,形成された付着器および吸器にシリコンオイルやFITC-結合アルブミンを注入した。シリコンオイル注入後,さらに培養し,接種48時間後における吸器形成率や二次菌糸形成率を調べた。付着器に注入したものでは,約15%の分生胞子が吸器を形成し,二次菌糸を伸長した。また,吸器に注入した場合には,約8%の分生胞子が二次菌糸を伸長した。以上の結果から,宿主植物上で生育するうどんこ病菌の付着器や吸器にも本法を適用できることが判明した。