日本植物病理学会報
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日本のラッカセイから分離された種子伝染性potyvirus, peanut stripe virusについて
大木 理中達 聡大井上 忠男
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1989 年 55 巻 1 号 p. 72-75

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抄録

ラッカセイの種子伝染発病個体から分離されたpotyvirusについて諸性状を調査した。宿主範囲はほぼマメ科に限られ,ラッカセイに斑紋と不連続な葉脈緑帯を現し,Chenopodium amaranticolorに局部感染し,インゲンマメ(品種トップクロップ)には感染しなかった。また,アブラムシによって非永続的に伝搬され,種子伝染率は最高43%に達した。ウイルス粒子は長さが約750nmのひも状で,感染組織内には風車状と管状の細胞質封入体が観察された。二重拡散法,免疫電顕法,ELISA法で血清学的類縁関係を調べたところ,精製ウイルス試料はpeanut stripe virus (PnStV)抗血清と強く反応し,ラッカセイ斑紋ウイルスならびにカブモザイクウイルスの抗血清とは反応しなかった。以上より,本ウイルスはPnStVと同定された。なお,本ウイルスの和名をラッカセイ斑葉ウイルスとしたい。

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