日本植物病理学会報
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2次元電気泳動法によるPhytophthora属菌の種の分別および同定
正子 朔吉川 正明松本 高郎勝本 正夫緒方 仁美岸辺 ゆかり
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1989 年 55 巻 3 号 p. 336-343

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抄録

Phytophthora属菌(疫病菌)16種34分離株の可溶性蛋白は,2次元電気泳動法により100から200個の濃淡の異なる蛋白スポットとして分離することができた。この蛋白の泳動パターンは,種の異なる疫病菌株の間では明確に異なっていたが,それぞれの種においては特徴的なパターンを示した。同じ種に属する疫病菌株の間では,その分離場所,分離植物,または病原性レースなどの違いにかかわらず,淡く染色される小さな蛋白スポットの泳動パターンには若干の差異が認められる場合もあったが,濃く染色される主要な蛋白スポットの泳動パターンはまったく同一であるかまたはきわめて類似していた。このように,疫病菌の可溶性蛋白の2次元電気泳動パターンは種に特異的であり,疫病菌の種の分別および同定に有効な補助的手段になりうると考えられる。

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