日本植物病理学会報
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チューリップに発生したピシウム葉枯病(新称)
向畠 博行山本 孝〓名畑 清信鈴井 孝仁
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1989 年 55 巻 5 号 p. 594-602

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抄録

本病ではおもにチューリップの葉に病徴が現れる。最初葉色が淡くなり,その後灰白色で不整形の病斑を形成する。本病の病徴はチューリップ疫病に類似しているが,茎が軟化することがない点で大きな違いが認められる。発生品種はRed Matador, Ben van zanten, Parade, Queen of Nightなどで,疫病とは異なる。本病の病原菌としてPythium dissotocum,P. afertile,P. sylvaticumの3種を同定し,1未同定種はPythium ‘group P’とした。感染したチューリップの球根の肥大は阻害されたが,根や球根への感染は認められていない。サクラタデやメヒシバおよびミズガヤツリなどが本病の伝染源の一つになっていると考えられる。

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