56 巻 (1990) 1 号 p. 1-9
幅広い病原性をもつ菌株(レース337)を用い,単一の真性抵抗性遺伝子をもつイネ6品種上で連続的に継代通過後,通過させた品種と同一あるいは異なる品種に対する病原力の変動について検討した。病原力の指標としては葉身上の罹病型病斑率と,病斑一定面積当りの分生胞子形成数すなわち胞子形成能を用い,両者の値から総合的に病原力を評価した。その結果,継代通過後に再分離して得た菌株の多くは,通過させたのと同一の真性抵抗性遺伝子(Pi-a, Pi-iおよびPi-k)をもつ品種に対しては母菌より病原力が優った。この傾向はとくに,抵抗性遺伝子Pi-iにおいて顕著であった。一方,継代通過させた品種と異なる品種に対しては母菌より病原力が低下する菌株が多く,とくに抵抗性遺伝子Pi-kをもつ品種の通過菌で顕著であった。