抄録
タバコモザイクウイルス-ワサビ系(TMV-W)とTMVの他の4系統との血清学的関係について調べた。補体結合反応法および寒天ゲル内拡散法において,TMV-Wとヤチイヌガラシ系(TMV-C)はそれぞれの抗血清と強く反応したが,寒天ゲル内拡散法では分枝を形成した。両抗血清は普通系(TMV-OM),トマト系(TMV-L)およびトウガラシ系(TMV-P)に対し弱く反応するかまたは反応を示さなかった。TMV-OM, TMV-L, TMV-P各抗血清に対し,TMV-WとTMV-Cはともに同程度の反応を示した。以上より,TMV-WはTMV-Cと血清学的に近縁であるが,他の3系統とは離れていると判断された。ELISA法では供試したTMVの5系統に対する抗血清は特異的におのおの対応する抗原とのみ強く反応した。しかし,TMV-WとTMV-Cとの間には弱い交差反応が認められた。ELISA法における抗原・抗体間の強い反応特異性はTMVの系統を識別するのに役立つが,一方で本法の一般的なTMVの診断への応用を限定する要因になると考えられた。