日本植物病理学会報
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Pseudomonas syringae pv. eriobotryaeのプラスミドの欠落に伴う病徴の変化
上運天 博
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1990 年 56 巻 5 号 p. 645-650

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抄録

P. syringae pv. eriobotryaeはビワがんしゅ病の病原細菌であり,供試した褐色色素産生菌株はすべて,分子量がそれぞれ約32, 39, 85メガダルトン(Mdal)の3個のプラスミドを共通に有していた。生育適温より高い温度(32C)で数回継代培養することにより,NAE57およびNAE34から85 Mdalプラスミドが欠落した28菌株を得た。これら85 Mdalプラスミド欠落株28菌株と継代培養後もなお85 Mdalプラスミドを保有していた28菌株をビワの茎に接種した結果,85 Mdalプラスミド保有株はすべて親株と同様にカルス様組織が発達した病徴を示したのに対し,85 Mdal欠落株はすべてカルス様組織を伴わない病徴を示すようになった。85 Mdalプラスミドの欠落は常に病徴の変化を伴っており,85 MdalプラスミドがP. syringae pv. eriobotryaeの病徴進展に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。

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