1990 年 56 巻 5 号 p. 691-694
タバコモザイクウイルスの強弱両系統,LおよびL11A,のウイルス産生量の比較を行った。ウイルスに感染したトマトおよびタバコからのウイルス収量はL11Aのほうが少なくLの約1/5∼1/6であった。感染トマト葉からプロトプラストを分離し感染率およびウイルス量を調べ,感染プロトプラスト当りのウイルス量を比較すると,L11A感染プロトプラスト当りのウイルス量はLの場合より少なく1/4∼1/6であった。L11Aのウイルスの増殖曲線は接種4日後プラトーに到達しその後減少するのに対し,Lは4日以後も増加を続けた。このように細胞におけるL11Aのウイルス量が少ないのは,増殖能の低下とともに感染4日以降におけるウイルス増殖の減少によることが示唆された。