日本植物病理学会報
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ダイコンべと病菌の吸器と吸器上での顆粒形成
大口 富三浅田 泰次
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1991 年 57 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

べと病菌を接種したダイコン罹病性品種,白首宮重の根切片では,吸器は接種24時間後には,接種表面から第2細胞層,5日後には第63細胞層で観察された。一方,抵抗性品種,平安時無では,本菌の生育は著しく悪く,吸器は接種24時間後にはまったく観察されなかったが2日後には第1細胞層,5日後には12細胞層で観察された。両品種で形成された吸器の大きさ,形に差がなかった。白首宮重では多くの吸器表面に数個の球状または半球状の顆粒が観察された。顆粒が観察された吸器は白首宮重では接種2日後で約25%, 6日後で40%,平安時無では,2日後で3.5%であったが,3日後以降では0%であった。顆粒が形成された吸器は,多くの場合,群がって存在し,根切片の表面よりも吸器形成数の多い第8∼10と第16∼18細胞層間で多く観察された。顆粒は直径1.7∼3.7μm,銀色で,球形∼半球形であり,sudan black Bで黒味を帯びた青色,sudan IIIで赤色を呈したことから中性脂肪と考えられた。1吸器での顆粒数は0から20個以上であった。顆粒はまれに細胞間隙の菌糸の細胞中,吸器周辺の宿主原形質中でも観察された。顆粒は種々の形の吸器で形成された。

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