日本植物病理学会報
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タバコから分離されたトマト黄化えそウイルスの精製
津田 新哉夏秋 啓子都丸 敬一
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1991 年 57 巻 2 号 p. 239-246

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抄録

1983年,岩手県盛岡市のタバコから分離されたウイルスは,トマト,タバコ,Nicotiana benthamiana,ペチュニアおよびササゲなどの植物への汁液接種の結果および電子顕微鏡観察によってトマト黄化えそウイルス(TSWV)と確認された。ショ糖密度勾配遠心法を用いて本ウイルスの精製を試みた。はじめに,感染葉からのウイルスの抽出を目的として,7種類の磨砕用緩衝液を検討した結果,0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0, 0.01M亜硫酸ナトリウムと0.01M EDTAを含む)は,タバコ葉を用いた半葉法による感染価の検定によって適当と考えられた。40.0% (w/w)ショ糖濃度を階段状とした段階ショ糖平衡密度勾配遠心法を行った結果,宿主植物由来の物質のピークとTSWV感染性のピークとは分離され,TSWV感染性の最大値を示す分画には,電子顕微鏡観察でTSWV粒子が多数観察された。精製各過程における比感染価は,精製の進行に伴って増大し,第一段階の感染価に対して最終的にはOD260値で約44倍,OD280値では約46倍となった。

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