1991 年 57 巻 3 号 p. 371-376
非病原性のイネもみ枯細菌病菌株でイネ種子を処理することによりイネ幼苗腐敗症の発病が抑制された。この発病抑制効果は,供試した非病原性菌株と病原性菌株の組合せにより異なり,また非病原性菌株の細菌濃度が高いほど顕著であった。発病抑制効果は,イネもみ枯細菌病菌の生菌でのみ認められ,それ以外の菌,すなわち,Agrobacterium, Erwinia, Bacillus, Clavibacter等ではまったく認められなかった。供試した非病原性5菌株のうち,N7503は供試したすべての病原性菌株による発病を抑制し,その防除効果も高く,イネ幼苗腐敗症に対する生物的防除材としての利用の可能性が示唆された。