日本植物病理学会報
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収穫後のチューリップ球根に黒褐色病斑を形成させる細菌病
守川 俊幸山本 孝〓福田 徳治野村 良邦稲垣 佳世子
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1993 年 59 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

1987年と1988年に富山県内で発生が認められた貯蔵中のチューリップ球根に黒褐色の不整形病斑を形成する病害について,その病原を調べた結果, 2種のPseudomonas属細菌が分離された。接種によりおのおのの原病徴が再現された。両者の細菌学的性質,血清学的性質から一つを既知のチューリップ黒腐病細菌Pseudomonas andropogonis (Smith 1911) Stapp 1928,他の一つをPseudomonas gladioli Severini 1913と同定した。両者の病徴の違いは,前者の病斑周縁部がおもに鱗片表層を進行するのに対し,後者はおもに鱗片内層を進行する点であった。P. gladiotiによるチューリップ病害の発生は初めてであり,本病が黒腐病に比べ,褐色がかった病斑を呈する場合が多いことから,病名はチューリップ褐色腐敗病(Bacterial brown rot of tulip)を提唱した。

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