1993 年 59 巻 2 号 p. 192-195
種子繁殖型ニンニクの系統選抜中に,花に異常を示すものが認められた。健全花序が球形を示すのにたいして,異常株では小花柄および花弁が白色となって異常に伸長し,花序全体が楕円状・ラッパ状・杯状を示した。このような症状を示す株の鱗茎,新芽,葉,花柄,小花柄,花弁の組織をDAPI (4',6-diamidino-2-phenyl-indole・2 HCl)染色し,蛍光顕微鏡で観察したところ,異常株の師部で特異的に染色される細胞が認められた。また,超薄切片法による電顕観察では,異常株のいずれの師部組織にも典型的なマイコプラズマ様粒子(MLO)が多数認められた。以上の結果は,ニンニクの奇形花症状が, MLOによることを強く示唆するものである。