抄録
マツノザイセンチュウを感受性のクロマツ,抵抗性のテーダマツおよびストロープマツの枝に接種し接種枝の解剖観察を行った。線虫数はクロマツでは枝全体で増加したが,抵抗性種ではテーダマツの接種部近傍を除き次第に減少した。クロマツの皮層,師部や形成層では病変の現れるのが遅かったが,抵抗性種では早くから,皮層,師部や形成層の壊死・破壊,皮層樹脂道の閉塞がみられた。傷害周皮の形成はテーダマツで接種3週後,ストローブマツで5週後にみられたが,クロマツでは殆どなかった。木部柔組織の壊死はクロマツでは顕著であったのに対し,抵抗性種では少なかった。傷害周皮形成および皮層樹脂道の閉塞,線虫加害に対する木部の感受性の低さが抵抗性要因として働くことが示唆された。