日本植物病理学会報
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インゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)ゲノムRNA 3'末端の塩基配列と外被タンパク質遺伝子導入Nicotiana benthamianaの作出
中村 茂雄本藏 良三宇垣 正志大島 正弘大橋 祐子
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1994 年 60 巻 3 号 p. 295-304

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抄録

BYMVのゲノムRNA 3'末端から4,306塩基の塩基配列を決定した。第2塩基から第4,132塩基まで一本のオープン・リーディング・フレームが見いだされた。既報のpotyvirusのゲノム構造とNIaプロテアーゼによる認識配列を参考にして,本ウイルスのコードするNIaプロテアーゼ切断部位を予想し,ゲノム構造を推察したところ,この領域にはCIの一部(98aa), 6K (53aa), NIa (434aa), NIb (519aa)および外被タンパク質(CP, 273aa)がコードされていると考えられた。CPは既に塩基配列が報告されている他のBYMV 4系統とアミノ酸レベルで88-95%のホモロジーを示した。更に,本ウイルスに対する抵抗性植物作出のため,本CP遺伝子に翻訳開始コドンを導入し,アグロバクテリウム感染法によってNicotiana benthamianaを形質転換した。得られた形質転換植物について,核ゲノムへのCP遺伝子の組み込みと,タンパク質レベルでの発現を確認した。また自殖次世代においても安定してCPを発現し,BYMV感染に対して抵抗性を有していることが明らかとなった。

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