1994 年 60 巻 6 号 p. 717-724
青森県で1989年および1990年産の貯蔵リンゴに多発した腐敗果実および,1991年に青森県下の1園地で発生したニホンナシとセイヨウナシの腐敗果実から同一種のPhytophthora属菌が高頻度で分離された。本菌は遊走子による無傷接種でそれぞれの果実に強い病原性を示し,発病部位から接種菌と同一のPhytophthora属菌が再分離された。本菌は培養性質,各器官の形態と大きさから,Phytophthora syringae (Kleb.) Kleb.と同定された。これは日本におけるP. syringaeの最初の発生記録であり,本菌は日本におけるリンゴ,ニホンナシ,およびセイヨウナシ疫病の新しい病原菌である。