日本植物病理学会報
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ハイブリダイゼーションを用いたイネ黒条萎縮ウイルスゲノムとmaize rough dwarf virusゲノムの類縁関係
磯貝 雅道小豆畑 二美夫上田 一郎四方 英四郎木村 郁夫
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1995 年 61 巻 6 号 p. 513-518

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抄録

イネ黒条萎縮ウイルス(RBSDV)とmaize rough dwarf virus (MRDV)ゲノムを用いたハイブリダイゼーションにより,両ウイルスのゲノムセグメントの関係を明らかにした。RBSDVとMRDVの塩基配列の比較からRBSDV S7とMRDV S6, RBSDV S8とMRDV S9が高い相同性を持つことが報告されている。しかし,RBSDV S7, 8由来のcDNAをプローブとしてMRDVゲノムとのノーザンハイブリダイゼーションを行うと,MRDVの移動度が遅い方からそれぞれ7, 8番目のセグメントにシグナルが検出された。このことから,RBSDVとMRDVのセグメントの対応関係がずれているのではなく,MRDVのセグメント番号の付け方(Marzachí et al., Virology, 1991)が間違っていることが分かった。さらに,両ウイルスの塩基配列の相同性を解析するため,S3を除く各RBSDVセグメント由来のcDNAをプローブに用いてMRDVゲノムとハイブリダイゼーションを行った。その結果,RBSDV S1, 4, 5, 6由来のcDNAは,他のRBSDVセグメント由来のcDNAと比較してMRDVゲノムと相同性が低かった。またRBSDV S5, 6由来のcDNAは,よりMRDVと相同性が低く,RBSDVとMRDVを判別できることを示唆した。

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