日本植物病理学会報
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Pseudomonas syringae pv. maculicolaにおけるコロナチン産生のプラスミド支配
朱 亜峰田村 勝徳渡辺 實松田 泉佐藤 守
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1995 年 61 巻 6 号 p. 569-574

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抄録

Pseudomonas syringae pv. maculicolaはクロローシス誘導植物毒素コロナチン(COR)を産生する。このCOR産生とプラスミドとの関係を調べた。ハクサイ分離株H3-6をアクリジンオレンジ処理をすることにより4株のCOR非産生変異株を得たが,これら変異株は5個の所有プラスミドのうち最大の約83kb (pMAC1と命名)のプラスミドを共通に喪失していた。また,COR生合成遺伝子群の一部の遺伝子(cfl)領域を増幅出来るプライマーを用いて,野生株および上記変異株のプラスミドDNAに対してPCRを行った結果,pMAC1を含む野生株にのみ0.65kbのPCR産物を得た。またH3-6株以外の3株のCOR産生株のプラスミドからも同じPCR産物が得られた。このPCR産物をプローブにしてこれら菌株のプラスミドDNAに対してサザンハイブリダイゼーションを行った結果,H3-6株のpMAC1を含む各菌株の最大プラスミドとのみ反応した。このPCR産物の塩基配列は,既報のpv. glycinea PG4180のものとは655塩基中2塩基異なるのみであった。以上の結果から,pv. maculicolaにおけるCOR産生のプラスミド支配が明らかになった。

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