日本植物病理学会報
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L-乾燥,凍結乾燥およびシリカゲル乾燥法を用いたタバコ輪点ウイルス感染葉の粗汁液と組織片による病原性の長期保存
福本 文良
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1996 年 62 巻 1 号 p. 49-52

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抄録

タバコ輪点ウイルスの感染葉粗汁液と組織片を用いて,L-乾燥,凍結乾燥およびシリカゲル乾燥法による病原性の長期保存性を調べた。それぞれの処理で粗汁液の病原性は無処理に比べて19%, 0.1%および0%に低下した。10%ぶどう糖と5%リジンの両添加物を加えた標品のL-乾燥およびシリカゲル乾燥法による処理後の病原性は高く維持され,それぞれ82%と47%であった。一方,凍結乾燥の場合,5%リジンの添加で73%であった。高温における保存試験でも,それらの添加物は病原性の低下を抑制し,保護効果はL-乾燥,凍結乾燥,シリカゲル乾燥法の順であった。10%ぶどう糖と5%リジンを添加したL-乾燥標品では,病原性は-20°C以下で99か月間安定して保存された。シリカゲル乾燥標品でも長期保存が可能であった。

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