日本植物病理学会報
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ササゲでの病徴決定におけるCMVのRNA 2の役割
柄澤 明伊藤 明子岡田 格長谷 修江原 淑夫
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1997 年 63 巻 4 号 p. 289-297

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抄録

ササゲに全身感染する点で, CMVの多くの他の系統とは異なるマメ科系統CMV-LのゲノムRNAの全塩基配列を決定した。RNA 1は全長3359ヌクレオチドで,分子量111,491の1aタンパク質をコードしていると考えられた。RNA2は3047ヌクレオチドからなり,分子量96,720の2aタンパク質をコードする能力があった。RNA3は2213ヌクレオチドで,分子量30,478の3aタンパク質と24,191の外被タンパク質の2つのシストロンを有していた。決定した塩基配列や,コードしていると予想されるアミノ酸配列を,既知のCMV黄斑系統(CMV-Y)と比較したところ,いずれも94%以上の高い相同性が認められた。特に,細胞間移行タンパク質である3aタンパク質のアミノ酸配列は,両者で完全に一致した。完全長のcDNAから感染性のあるウイルスRNAを転写可能な系を用いて, CMV-LとCMV-Yの間でreassortantを作製しササゲに接種したところ,ササゲでの感染の型(全身感染または局部感染)はRNA2単独で決定されるが,全身感染における病徴をCMV-YのRNA3は変化させることが明らかとなった。CMV-Lと同様にササゲに全身感染するCMVの分離株MB-8のRNA2についても同様に塩基配列の決定を行い,既知の数系統のCMVのコードする2aタンパク質のアミノ酸配列と共に比較したところ,非過敏感反応型のCMVの2aタンパク質では,共通したアミノ酸変異が3カ所認められた。

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