1998 年 64 巻 3 号 p. 183-186
ポティウイルスのHC-Proはアブラムシ伝搬に関わるヘルパー成分であり,自らのC末端をポリプロテインから切り放すプロテアーゼ活性をもち,ウイルスの遠距離移行,複製および病徴の発現にも関与している。このように様々な機能をもつHC-Proのウイルス抵抗性因子としての可能性を知る目的で,SPFMV-SのHC-Pro遺伝子のcDNAをアンチセンス方向にタバコに導入した。T1植物を用いたサザンおよびノーザンブロット解析により遺伝子の導入と発現が確認された8系統中,正常な形態と生育を示す2系統のT2植物を用いてウイルス抵抗性検定を行った。SPFMV-Sはタバコに感染しないので,同じポティウイルスに属すPVYを接種源として用いた。その結果,低い接種濃度では病徴の発現が遅延しウイルス抵抗性が認められた。