1998 年 64 巻 3 号 p. 187-190
Tabacco leaf curl geminivirus (TLCV)のAC1遺伝子とAV1遺伝子の間の領域(1R)を含む1.1kbpの塩基配列をもとに構造解析と分子系統解析を行った。IR中にはTLCVに特徴的な反復配列ATTGGTACCAが存在し,その配置は他の旧世界型ジェミニウイルスと似ていた。TLCVのIRの塩基配列を,双子葉植物に感染しかつタバココナジラミによって伝搬される22種類のジェミニウイルスのIRと比較したところ,旧世界型ジェミニウイルスに分類され,相同性の高かったtomato leaf curl virusのオーストラリア分離株およびイスラエル株でもそれぞれ57.1%および56.5%であった。以上の結果から,TLCVは,他のジェミニウイルスの系統でなく,独立した種であると考えられる。