日本植物病理学会報
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ジャガイモそうか病を引き起こすStreptomyces属菌による植物毒素thaxtomin Aとconcanamycin AおよびB生産性の相違
夏目 雅裕山田 晃子田代 暢哉安部 浩
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1998 年 64 巻 3 号 p. 202-204

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抄録

ジャガイモそうか病は病原菌と病徴の多様性が報告されているが,病原菌の分類やその病徴との関連は未だ明確にされていない。我々はそうか病菌の1菌株がthaxtomin Aの他にconcanamycin AおよびBを生産することを見いだした。そこで,そうか病菌の分類と生産する毒素との間に関連があるのではないかと考えて,DNAホモロジーが調べられているそうか病菌5菌株とStreptomyces scabiesおよびS. acidiscabiesの標準菌株2菌株計7菌株について,thaxtomin Aとconcanamycins AおよびBの生産性を調べた。その結果,thaxtomin Aは7菌株中6菌株で生産が認められ,その生産性は胞子鎖がspiral型の菌株よりもrectiflexible型の菌株の方が高い傾向にあった。一方,concanamycinsはジャガイモから分離されたspiral型の胞子鎖を有する2菌株とS. scabiesでのみ生産が確認された。concananycinsのジャガイモ塊茎に対する作用は現在検討中であるが,thaxtomin Aのみを生産する菌種と,thaxtomin Aとconcanamycins AおよびBを生産する菌種が存在することは,そうか病の病徴のタイプが感染した病原菌の種類によって決まる可能性を示唆していると考えられる。

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